本記事は、私が13年間地方公務員として勤めてきた中で、主に業務プロセスや組織風土などに起因する疑問や課題、モチベーション低下の原因になっていた要因について語っています。
これから公務員になろうと考えている方が、少しでも仕事内容や雰囲気をイメージできるよう書いていきますので、是非ご一読ください。
また、現職の公務員の方についても、記事の内容に共感頂けたらお気軽にコメントなど下さると有難いです。
公務員の仕事内容
私が公務員の仕事内容に対し、ストレスを感じていたことについてお話しします。。
1.文書日付が実際の処理日と異なることが多い
公務員は文書主義であるため、仕事は起案書を作成して処理することとなります。
主に会計処理関係の文書で多い傾向なのですが、起案日(発議日)が実際に文書を作成した日付と異なることが多く、規則上文書日付がかなり重要視されます。
具体例を記載します。
【消耗品を購入した時】
4月20日に物品購入⇒4月25日に納品⇒4月28日に請求書受理
このケースで、金額が一定以下の場合は請求時にまとめて支出負担行為(※1)と支出命令(※2)を起案するケースが多いです。
ここで重要になるのが支出負担行為の起案日ですが、うっかり4月28日を起案日としてしまうと、納品日が起案日より前だと論理的にあり得ないということになり、ルール違反となります。
そのため、少なくとも納品日以前に起案日を設定する必要があり、この場合は4月25日以前に起案日を設定する必要があります。
支出命令の起案日については、請求書の日付以降で問題ありませんが、契約書に支払時期を記載していない場合や、契約書を取り交わしていない契約については、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」が適用され、請求をした日から15日以内に支払を完了しなくてはいけない点に注意が必要です。
このような軽易な消耗品の購入については、経験年数の浅い職員が経理担当として処理するケースが多いのですが、日付の概念が独特なので、初心者が躓く恒例のポイントとなっています。
※1・・・契約締結の意思決定を行う書類。金額が大きい契約だと、事前に執行伺が必要となる。
※2・・・相手方の請求を受け、支払処理を行う書類。
【年度を跨いでの支払】
2021年3月分の電話代について、2021年4月に請求を受け支払うケース
公務員は会計年度毎に処理を行わなければならないという概念があります。
会計年度は4月1日~翌年3月31日となっています。
このケースの場合は、支払を行う会計年度については旧年度となり、支出負担行為は2020年度(令和2年度)の予算で起案する必要があり、起案日は旧年度に属する日付、つまり2021年3月31日以前の日付でなくてはいけません。
うっかり請求日と同日で起案すると、会計規則的にアウトなので注意が必要です。
この他にも入札関係や、支払を行う費目によっては更なる制限事項がある場合があるため、非常に面倒です。
この業務の適正については、空間把握能力ならぬ時空管理能力が問われる仕事だなと感じていました。
あとで書類上の整合性を取りやすいように、時には契約先に見積書や請求書の日付を空欄で提出させるという文化があり、違和感を感じていました。
2.働かないベテラン職員
www.withdrawal-civilservice.com
この記事でも触れているように、明確な評価基準が無いかつ年功序列により自動昇給することに起因し、やる気の無いベテラン職員の発生率が高いです。
全く仕事をしないBBA職員(月額手取り30万程度)が同じ課に存在し、あまつさえは病気休暇と有給休暇を交互に使いながら休み続け、病気を理由に休職し、退職となる休職日数に達する直前で出勤し、ネットサーフィンをして毎日を過ごすという許されざる職員がいました。
この職員の所業は、周囲の職員はもとより私も強い憤りを感じており、モチベーションも著しく低下していました。
しかしながら、公務員は身分保障が非常に強くそう簡単にクビにすることが出来ません。
このように住民の血税を搾取し、のうのうと生き長らえる職員が存在することは絶対にあってはならないことなので、個人的には分限免職出来るレベルをもう少し緩めていいのではと思っていました。
誤解のないよう話しておきますが、決して全ての公務員がこのような思考で職務にあたっているわけではありません。
中にはサービス残業も厭わず、健全な行政運営に貢献すべく業務に全力で取り組んでいる職員も多数存在していることを申し添えておきます。
3.法令遵守し市民対応を行うこと
主に窓口部署での話になりますが、どんな市民であっても制度に従って対応を行わなければなりません。
時にはまっとうな方だけでなく、その筋の方や、悪質なクレーマー、滞納者などに遭遇することもあります。
しかしながら、対応を断ることも出来ないため、時には堂々巡りとなり数時間経過することもざらです。
また、どれだけ生活が困窮している市民であったとしても、制度上の救済措置の条件を満たしていなければ、救いの手を差し伸べることは出来ません。
制度上どこかに閾値を設ける必要があるため、前述のような境目の市民が割を食ってしまうことがあるのですが、そういった方に対し、何も出来ない自分に歯がゆさを感じたこともありました。
一例をあげると、年金収入だけで生活するのが厳しい高齢者が、アルバイトをして給与収入を得た結果、国保料や介護保険料が前年対比で倍以上となり、住民税や所得税が課税され手元にほとんど残らないといった事象にも多数遭遇してきました。
本来社会的弱者を救済するための公的保険制度が、かえって低所得者を苦しめるという皮肉な構造はどうにかならないものかと日々考えていました。
4.意思決定が遅い
これは現職の公務員の方々にも同意いただける点ではないでしょうか。
例えば何か通知文書を出そうと起案を行うと、上司に決裁を得る必要があります。
係長⇒課長補佐⇒課長⇒次長職⇒部長職
この場合、係長で内容を修正され、課長補佐に別な点を指摘され、課長に「てにをは」の言い回しを指摘され、次長職に他市との整合性を指摘され、部長職で最初の内容に戻るなんてことは日常茶飯事です。
本質的には変わらない言い回しなどに非常に強く拘る職員が多いため、いつになっても決裁が終わらないという状況になります。(マジで頭おかry)
また、複数課が関係する内容の起案文書となると、もう最悪です。
複数課で前述の減少が発生しますし、関わりが薄い部署についてもとりあえず合議するという文化が根強いため、決裁完了まで時間がかかります。
たいがい総務系や政策系の部署では一筋縄ではいかない「起案ストッパー」となる管理職が存在しているため、一か月以上起案文書が返ってこないことはざらにあります。
このように複数課を経由する起案文書は、決裁完了後おびただしい数のハンコが押されているため、その状況を揶揄して仲間内では「スタンプラリー」と呼称していました。
仕事にスピード感を持って取り組みたい方は、非常に強いストレスを感じると思います。
5.イベントなどの動員が多い
市民向けのイベントなどで、集客率が悪い場合、半強制的に参加させられることがありました。
業務終了後の時間帯や、土日であることが多く、当然のことながら時間外手当は支給されません。
断ると「空気の読めない奴」扱いされることも多く、理不尽な世界だなと感じていました。
私は集客率が悪いイベントについては、市民ニーズを的確に捉えておらず不要または見直しが必要な事業と判断することが大切だと考えていました。
しかしながら、公務員の性質上一度始めた事業を廃止するという決断を行うことが少ないです。
議会対応で槍玉にあげられることを恐れて事業廃止は慎重にならざるを得ないと考えているのでしょうが、限りある税金を有効に活用するためには、少し説明に苦慮したとしても、見直しが必要な場面もあると思っています。
時にはシビアに決断することで、質の高い公共サービスの提供に繋がるのですが、公務員は決断できる人間が少ないです・・・
まとめ
公務員の仕事内容と私が疑問を持っていた点についてお話させていただきました。
また、本記事を読んで、
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