昨今、その種類が際限なく増殖している「ハラスメント」
部下を持つ方にとっては、足元に地雷が埋まった状態で仕事するような気分だろう💣
ハラスメント研修などもあるが、種類をただ暗記させられるものが多く、学べば学ぶほど身動きが取れなくなってしまう。
そこで今回は、私の前職(公務員)時代に上司と部下の双方から聞いた意見を基に、「ハラスメント」というものの正体を暴いてみたいと思う。
この記事を読むことで、ハラスメントを根本から理解していただき、読者の皆様が本来の職務に集中するためのヒントに、延(ひ)いては新たな価値観の発見につながれば幸いである。
なお、犯罪性のある明らかなハラスメント行為(傷害、わいせつ、恫喝など)については、考察の対象から除くものとする。
そんな連中は擁護に値しない。
上司から見たハラスメント
まず、上司から聞いたハラスメントに対する本音は、
- 最近の若いヤツは根性がないから、何でもハラスメントで訴える!
- 俺の若い頃は、これぐらい当たり前だった!
- なんで、仕事を教えてやる立場なのにこっちが気を使わなきゃならないんだ
- こんな腑抜けに俺が築き上げてきた組織を任せられない!
- 若いヤツの価値観なんて理解できねえ!
というものだった。
自分の時代には我慢するのが当たり前だったことを、目の前の若造は平気で回避しているが許せないのは当然である。
しかも、相手のためを思って話しかけてあげているのに、恩を仇で返されるように感じてしまう。
そして、つい皮肉を込めてつい口走ってしまう。
「あれ、これってハラスメント的にセーフ?笑」
「全部ハラスメントだから何も言えないよ~笑」
「こんなのハラスメントハラスメントだ~笑」
残念ながらこの類の発言は、
「ハラスメントに抵触しないように気遣ってやってるんだぞ」
という心の声が筒抜けになっているため、部下との距離を余計に広げてしまうのである。
部下から見たハラスメント
ハラスメントを訴えたくなる部下の心境としては、
- 昔の人は昔の人は根性があったんじゃなくて、上に反発する勇気がなかっただけじゃないの?ほら、また上にペコペコしてる!
- 言葉上はハラスメントに気遣っているけど、視線や態度でこちらを蔑(さげす)んでいるのを感じる!
- 自分の話ばかりするくせに、こちらの話は「最近の若い人は分からない」と、ろくに取り合ってくれない!
- 時代遅れの古い価値観なんて知りたくもない!
というものがあった。この気持ちもよく分かる。
私自身も前の職場で、はっきりとはハラスメントに該当せずとも、不快な気持ちにさせられる人はいた。
その人は他部署の上司だったが、自分より下の立場の人を明らかに舐めていた
例えば、急に質問をしてきて、こちらの回答に満足いかなかった場合は、「あっそ」ってな感じで邪険に扱われた。
案の定、その人の部下は3名ほど病休に追い込まれてしまった。
このような人に対しては、新しいハラスメントを作り上げてでも、吊し上げたくもなるものだ。
それでも、部下は教わる立場であり、上司と対等ではないことを忘れてはいけないとも思う。
特に公務員の場合は、数年で職員配置が変わるため気に入らない部下には指導をせず放っておくという選択もできるからである。
誰にも指導されずに教わる機会を逸(いっ)してしまうと、公務員特有の年功序列のまま昇級し、無能高給取りのレッテルを張られてしまう
ハラスメントの正体
ここまで私の経験も交えつつ、双方の意見を記述した。
どちらにも共通するのは、相手に対して先入観を持ち、斜に構えてしまっていることである。
その結果、生まれてしまった溝によって関係はさらに悪化する。
そして、相手の行動がすべて不快に感じるようになり、訴えられる要因を探すようになる。
これがハラスメントの種である。
つまり、
何をしたからハラスメントではなく、
何をしてもハラスメントに捉えられる環境を
となってしまっているのである。
なので、ハラスメントの種類を覚えることは根本的な解決にはなり得ないのである。
一見ハラスメントに該当しそうな行為も、愛のムチとして部下から慕(した)われている職員は、このポイントを押さえているのだ。
ハラスメントを生まないために
ハラスメントは、本来協力するはずの仲間同士が争うことであり、個人だけでなく組織としての損失も大きい。
では、ハラスメントを生まないためにはどうすればよいのか?
それは、先入観を持たずに相手の価値観を理解しようとする努力することである。
極端な例えだが、
「深海魚の目」と「サメの目」
「深海魚の歯」と「サメの歯」
は同じ「目」と「歯」でも、本当に平等なのかということである。
(これはハンムラビ法典に疑問を呈す感じで言ってみたかった筆者の自己満足的表現である。)
同じ事象でもその人に与える影響は大きくことなるのだ。
つまり、
「俺は〇〇を我慢できるのに、部下は〇〇が我慢できない」
ではなく、
「部下にとっての〇〇は、俺にとっての△△ぐらい苦手なことなのかもな」
と想像力を働かせて、相手の価値観を理解し、自分の価値観と比較することが大切なのである。
上手に理解できずとも、その姿勢は相手に必ず伝わる。
金額は違えど、クレヨンしんちゃんのアクション仮面人形はひろしの5番アイアンと同じくらいの価値を持つのである。(もちろん、これも筆者の自己満足的表現である。)
結論
ここまで考察してきて
・ハラスメントは相手への尊重が足りない時に発生するということ
・ハラスメントを生まないためには相手の価値観を尊重し、常に自分に置き換えて考える想像力が必要であるということ
が分かった。
「教えてあげる立場なのに、私がなぜそこまでしなくてはならないのか」と思うかもしれない。
ただ、この姿勢は部下に対してだけではなく、自分にとっても生きる上で大切なことではないかと思う。
自分の大切な家族の価値観を誤解して傷つけている可能性もあるし、自分自身の価値観を蔑(ないがし)ろにして、周りに合わせることで心に負荷が掛かっていることもあるかもしれない。
家族と溝が深まる前に、自分の心が壊れる前にそれ気づくことは重要である。
また、今まで知らなかった価値観には、知らなかった楽しみが含まれている可能性も十分にある。
私の上司は、部下から教えてもらったポケモンGOで休日の趣味にしていたし、その逆に上司からゴルフを教わり趣味が増えた部下もいた。
知らないから拒否ではなく、知らないから気になるという姿勢は人生を豊かにするのではないか。
最終的にタイトルからそれてしまうが、本記事で伝えたかったのは、
価値観が違うなら知ろうとすればいいし、
価値観が違うから新しい発見があって楽しいじゃん。
ということである。
言葉では簡単でも、実行するのは難しいかもしれない。
それでも、明日から少しだけ意識してみて欲しい。
昨日までと違う自分が待っているかも知れないから。
お読みいただきありがとうございました🙏
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