巷では安定していて勝ち組と言われることのある公務員。
しかし、私は実際に公務員の職場を経験した結果、優秀な人は公務員を絶対に目指すべきではないという結論に至りました。
断言しますが、公務員は無能な人間に優しい職場であり、ある種とても不平等な環境です。
本記事は地方公務員(13年間)→商社系Sier→ベンチャーITコンサル(現職)と務めてきた経験のある筆者が、なぜ優秀な人が公務員にならないほうがよいのか、自身の経験を絡めて余すことなく解説する記事です。
記事を読むことで、優秀な人間が公務員を避けるべき理由を深く理解することができます。
これから公務員を目指そうと思っている新卒や社会人の方はもちろん、現在公務員である方にもご一読いただきたい内容となっていますので、該当する方はお目通しいただければ幸いです。
それでは理由についてお話ししていきます。
年功序列に起因する問題点
旧来の日本式雇用形態である年功序列。
この年功序列こそ、優秀な人間を腐らせる公務員の組織体質の諸悪の根源なのです。
優秀な人間が苦しむ要因の8割以上はこの年功序列によるものです。
この年功序列により、公務員の職場環境がどうなるのかという点について、具体的にお話しします。
成果を出しても待遇に反映されない
公務員の職場は周りの人間より成果を上げても、待遇にはほとんど反映されません。
なぜならば、昇格には必ず一定年数の職務経験が必要となっているからです。
そのため、いくら困難な仕事を引き受けようが、人より仕事が早かろうが、有益な資格を持っていようが、昇格のスピードは横一線です。
※管理職以上になると昇格のスピードに多少差は出てきますが、その頃には40代や50代になってしまっているため、生涯賃金には大きな差はつきません。
また、公務員にも一応評価制度はあります。
ですが、公務員は民間企業と異なり、利益を追求する職務内容ではないことも相まって評価基準がとても曖昧です。
そのため、評価制度の運用実態としては当たり障りなく中間付近の評価となることが大半です。
結果として、難しい仕事を避けてほどほどな業務量で日々を過ごしている職員も、一生懸命業務に邁進している職員も、俯瞰してみると大して変わりない扱いを受けることとなります。
私はこの点について強い不満を持っていました。
無能に優しい職場環境
前述のように評価に差がつかないことに加えて、公務員は無能にとっても優しい職場です。
公務員は法令違反等の行為を行わない限り、免職になることがありません。
そのため、職務経験20年以上ある職員が、入庁したばかりの職員と同じレベルの仕事しかできなかったとしても、お咎めはなく毎年昇給していくことになります。
この状況では、若手が仕事に対して意欲を失ってしまっても無理はありません。(人間として当然の反応ですね)
意思の強い人であれば、周りの能力の低い職員に引きずられずモチベーションを保てるかもしれません。
ですが、人間は集団生活の生き物ですので、入庁当初は意欲のある職員だったとしても、次第にやる気がなくなって成長しない職員になっていきます・・・
上記のように、公務員という職種そのものに優秀な人間を腐らせるメカニズムが存在しています。
無能な上司が多い
公務員は勤めてきた年数の長さにより、職階が決まります。
そのため、大して業務知識もなく、業務実績もない職員であっても、管理職になることができます。
結果、無能な上司が多く発生することになります・・・
そもそも実力を上げる努力もせず、その職場にいただけで上に上がっていっているわけですから、部下を成長させることのできる人間はとても少ないです。
私も公務員時代に尊敬できる上司に出会った経験はほとんどありません。(よその部署のエース職員で優秀な方はいましたが、出現率は全体の1割にも満たない程度です)
あなたは、成長意欲もなく、長く勤めているだけで偉くなっている人間のアドバイスを聞き入れたいと思いますか?
「公務員の常識は世間の非常識」
この言葉の通り、公務員というニッチな世界で自分の経験のみをもってして若手を指導しても、心に響く指導などできるわけがないのです。
結果として、有望な若手の職員が芽を摘まれてしまうことも珍しくありません。
★参考リンク 私が出会った究極の無能上司についての記事
www.withdrawal-civilservice.com
組織体質と業務内容に起因する問題点
先ほどご説明した年功序列が最も根深い問題点と言えますが、組織体質や業務内容に起因する問題点もあります。
市場価値のあるスキルが身につかない
公務員の業務は大半が定型的な業務です。
そのため、市場価値が高いスキルが身に付きにくい傾向があります。
ですが、長年公務員でいると年功序列により一定程度の年収となるため、相対的にみて市場価値より給料を多くもらっている状態となりがちです。
この状態になってしまうと、同水準以上の待遇で転職することが非常に困難な状況に陥ってしまいます・・・
この状況を防ぐには、自ら先を見据えて資格やつぶしが効くスキルを習得しておくしかありません。
自分が年老いてから後悔しないためにも、日々を漫然と過ごさず自己研鑽や能力開発に努めることが重要であると私は思います。
縦割り組織
公務員は基本的に縦割り組織です。
特に規模が大きくなればなるほどその傾向は顕著になり、末期症状になると部署同士で仕事の押し付け合いが発生します。
本来同じ組織の仲間なので、同じ方向を向いて協力すべきなのですが、
「それは〇〇課の仕事だ!!」
と少しでも自分の仕事を減らそうとするクソムーブを行う公務員は少なくありません。
この状況では、仕事熱心な優秀な方が特にフラストレーションが溜まります。
★参考リンク 地方公務員あるあるの記事
www.withdrawal-civilservice.com
保守的かつ前例踏襲主義
公務員の組織体質は非常に保守的です。
基本的に新しいことにはチャレンジしたがらない性質を持っています。
新規事業を行おうとしても、かなりの確率で各セクションや上司から反発を受けることになります。
真新しいことをやろうとしたら何かにつけて、
「前例が無い!」
「この点についてはどうするんだ!」(仕事やりたくないだけの非建設的意見)
と諸先輩方から袋叩きにされます。
公務員は口には出しませんが、前述の通りやってもやらなくても待遇は変わらないので、なるべく仕事を増やさないように立ち回る習性があります。(事なかれ主義)
結果として、意欲が高く地域や住民サービスのために色々やろうと思っている優秀な職員のフラストレーションが溜まることになります。
アナログな職場環境
公務員の職場環境はいまだに紙文書を絶対とする規定が残存している状況であり、非常にアナログです。
押印廃止や電子化推進などと叫ばれて久しい状況ですが、その組織によるものの請求書は代表者印がないとダメ、契約書は紙で取り交わす、内部の決裁文書も紙、出勤簿にハンコ押す・・・
このように職場環境としての合理化があまり進んでおらず、無駄な業務が非常に多いです。
業務として本質的に必要のない無駄な申請や決裁文書も多いため、優秀な方であればすぐに疑念を持つことになると思います。
議員様のご機嫌取りで疲弊
公務員は議員に対して丁重に振舞わなければならない場面が多く、ストレスが溜まります。
相手の議員が全うな人格者ならば良いですが、必ずしもその限りではありません。
★危険な議員様の参考リンク 長谷川岳議員の公務員に対する横暴な対応に関する記事
上記はかなり上級ランクの議員様の振舞いですが、表に出ないだけでこのように横柄な態度をとる議員様は少なくありません。
たかが議員程度の存在に都合よく顎で使われていい気分になる方はいないと思いますので、この点についても優秀な方が公務員を避けるべき理由であると言えます。
人口減に起因する問題点
ご存じの通り、日本は少子高齢化が進んでおり、今後数十年に渡りこの傾向が続いていくことになります。
人口減に起因し、公務員職場にも様々な問題が発生します。
業務量は増えるが人は増えない
日本は人口減により社会問題が増加傾向にあります。
社会問題の増加に伴い、公務員の業務範囲が拡大している状況ですが、そもそも人手不足で働き手も減っている状況です。
公務員についても例外なく、仕事は増えるが人は増えないという状況に陥っています。
そして優秀な方は公務員を退職し待遇の良い民間企業に流れる傾向も相まって、人材流出も頻発します。
かような状況により、公務員一人ひとりにかかる負担は増加傾向にあります。
そのため、DX推進をはじめとした上記の問題に対する解決策に取り組むことがとても重要なのですが、保守的な公務員組織が邪魔をします。
そもそも公務員はDX推進に必要な知識もスキルも持っていない人間が多い状況です。
そして一部の優秀な方が声を上げて新たな取り組みを行おうとしても、多数の無能に邪魔されるという地獄絵図の様相を呈しているのが公務員の世界です・・・
人材の質の低下
前述のような状況なので、そもそも公務員になる人の質が低下しています。
一昔前まで就職困難な状況であり、公務員の倍率は非常に高い状況でしたが、今では定員割れすることも珍しくありません。(特に地方)
そのため、大して能力がない人間でも公務員になれてしまうのが現状です。
未来はもっと悪い状況になる
現時点でもかなり悪い状況ですが、この先もっと悪い状況になります。
想像してみてください。
公務員を続けて、今まで述べてきたような状況に耐えかねてようやく管理職ポジションを手にしたとします。
ですが、先に説明した要因により、仕事をやってもらえる部下が潤沢にいる状況になる確率はとても低いです。(人手不足&人材の質の低下)
その結果、残業代出ないのに夜遅くまで働かざるを得ない、という未来は高確率で訪れることでしょう・・・
それでもあなたは、公務員になりたいですか?
公務員でいることに危機感を覚えた場合
色々お話ししましたが、公務員を続けることにリスクがあるということがおわかりになられたでしょうか。
このリスクに対する打ち手ですが、大きく分けて二つ策があると思います。
年齢が若いうちに転職する
一番良い選択肢はこちらです。
20代~30代ぐらいであれば、それほど今の待遇と変わらずに転職することは十分可能ですし、日本全体が人手不足であるため転職するには絶好のチャンスです!
私がおすすめする公務員の転職先は、コンサルタントです。
厳しくない?って思った方もいるでしょうが、コンサルと公務員は求められる要素や経験に相関性がありますので、適性がある方はいらっしゃると私は考えます。
詳細については、下のリンクの記事をご一読ください!
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全力で資産形成する
残念ながら40代以降となると、今から公務員を転職するのはハードルが高くなってしまいます。(不可能とは言いません)
年代的にもう家も建ててしまっているでしょうし、守るべきご家族もいることでしょう。
公務員を辞めたいといっても、ご家族の反対にあってしまうこともあると思います。
そうなってしまうと、できることとしては将来を見据えて資産形成するぐらいしか建設的な対処法はありません。
公務員は安定して給与が得られるため、投資を行う上では非常に有利である職業と言えます。
知識の習得は必要ですが、新NISA等を活用して将来困らないように投資を行い資産形成すると、早期離職も目指せてとても良いと思います。
ちなみに、ハイリスクハイリターンですがFXもなかなか面白いですよ!
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まとめ
以上、優秀な人は公務員にならないほうがいい理由について解説する記事でした。
私が最も伝えたいこととしては、人生は一回しかありませんので、どのような選択をしても後悔がないようにしていただければ幸いです。
他にも色々公務員に関する情報を発信していますので、そちらの記事もご一読いただけますと幸いです。
↓公務員に向いているMBTIについてまとめた記事です!
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★地方公務員のエリートコースに関しての記事
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