あなたは365日、360度モダンな係長を見たことがあるだろうか。
出会い
私はかつて勤めた職場で初めてそれを見た。
最初は上司の1人に過ぎないと思っていたが、次第にある強いイメージが私を包んだ。
彼は国立の大学を卒業しており、妻と二人の子がおり、市街地近郊に一軒家を構えていた。
ただ、そんな情報はまるで必要がない。
モダンの一言で片が付いてしまうのである。
正体
ところでモダンとはなんだろう。
某国語辞典によると、
「近代的、現代風」という意味のほかに、
「超現実主義・抽象主義など新しい傾向の美術や作品」と出てくる。
何かが違う。
モダンを使った言葉でモダン建築という言葉があるらしい。
調べてみると、
「モダン建築(正式には、モダニズム建築)は、20世紀初頭から中盤に発展した建築の考え方で、機能性や合理性を重視し、装飾を極力排除したシンプルで抽象的なデザインが特徴」とある。
ああ、これが近いと思った。
モダンな係長の衣装は装飾が少なく機能性を有している。
髪は短髪でシンプルに整え上げられ、眼鏡はおしゃれ気取りの丸眼鏡とかではなく、シャープで知性を感じさせるものを愛用している。
シューズは革張りでシンプルな作りとなっており、過度な威厳も感じさせず、それでありながらチープを一切感じさせることがなく、身体にあったそれがいつも適度に磨かれている。
ここに何故かレトロな印象を抱かせるのは、洗練された機能性とデザイン性は古今共通ということなのかもしれない。
日曜日たち
なぜ、モダンな係長に惹かれるのか。
私達は一貫性のある人間になりたいと思っている。
何事にも動じない強い人。
だけどすぐに人や環境に流されてしまい、自分を見失い続ける。
そんな時、支えになるのはいつも変わぬ姿を見せてくれる人物である。
彼らは変わらず存在し、変わりゆく世界で束の間の安らぎと自分を見つめ直す時間を与えてくれる。
長年、日曜日の夕暮れに、いつもと変わらない姿を見せてくれる人がいる。
・アホの山田くん
・キザの花輪くん
・ガリ勉の丸尾くん
常に変わらない彼らの存在が、日常のセーブポイントとなるのである。
モダンな係長が教えてくれたこと
モダンな係長は、移ろいの激しいこの世の中で、私たちが諦めた永遠を感じさせてくれる。
耳をすませばあなたにも、「すたっ、すたっ」とモダンな足音が聞こえるはずだ。
沁みったれた私の情緒を揮発させる、乾いてシンプルな空間がそこにはある。
そして気づく、
「永遠への憧れは、我が刹那の産物であることを」
本記事は、INFJ(提唱者)ブロガーのhanmanが日常生活での空想を基に書きました。
お読みいただき、ありがとうございました!
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