脱!公務員ブログ

元地方公務員(市役所職員)のSEが、自身の体験を元に公務員の実態や役立つ知識や経験談、IT関連の技術的な情報、美味しいお店の情報、趣味(野球、音楽、ゲーム、麻雀)に関すること、私自身の波乱に満ちた人生経験について発信します。記事を読んだ後は少し知識が増えて、笑顔になれる(ネタ要素満載)、そんなブログですので是非お立ち寄り下さい♪

【地方公務員】都市計画部署の仕事について



今回は元地方公務員の私が、当時在籍していた都市計画部署の仕事についてご紹介します。

本記事では専門的な用語は避け、理解しやすい言葉に置き換えておりますので、新たに都市計画部署に配属された方町づくりにご興味のある方が、知識を深めていくための導入として読んでいただけると幸いです。

それでは早速、ご紹介していきましょう!


都市計画とは?

そもそも都市計画とは何かというと、

都市計画法に基づいて作成する、
町を健全に発展させていくための計画です。

以下に都市計画による、具体的な効果を挙げました。

市街地の無秩序な拡散防止

この場合の市街地は建築ができるエリアを示しており、市街地が人口規模に見合わず必要以上に広がってしまうと、道路や水道などのインフラを整備する範囲が広がってしまい、整備や維持に余計にお金がかかります

一軒の家に行くための道路を何本を作るよりも、集合した住宅街に向かう頑丈な道を作り、維持する方が効率的ですので、建築できるエリアを決めてあげる必要があります。

また、住宅の位置は救急車や消防車、降雪地帯の場合は除雪車などが到着するまでの時間にも影響するため、住民の生命にも直結します。

このように町の財源には限りがあるため、徴収した税金を効率良く住民サービスに繋げるためにも市街地の無秩序な拡散を防ぐ必要があります。

用途が異なる建物の混在防止

ある日、皆さんの自宅の隣に大きな工場ができたらどう感じるでしょうか?

騒音や異臭などが生活に悪影響を与えますし、大きなトラックが道路を往来すると家族が交通事故のリスクも生じます。

「そんな町は住みたくない!」

と引っ越してしまう方もいるでしょう。

そこで、都市計画では建物の用途ごとに建築可能なエリアを決めることで、住民の生活
を守ったり、工業や商業が円滑な産業活動を行えるようにしています。

公共サービス用の土地を確保

都市が発展し、大型ショッピングセンターや巨大な工場ができたとしても、そこに行くまでの道路公共施設を整備する土地が不足していると、住みにくい町になってしまい、結果的に産業も衰退してしまいます。

そこで、道路、上下水道や公共施設などを都市計画の上で必要な施設(都市計画施設)に定めることで、民間の人が持っている土地であっても、都市計画施設の整備に支障が無いように建築を制限することができます。

実際にどんな仕事をするの?

では、具体的にどのような業務があるのか紹介します。

都市計画の内容説明

お客さんは不動産や建築関連の業者が多く、自身が所有している土地の制限内容(都市計画法上の制限)について質問されます。

また、別の部署から町有地で公共施設が建てられる場所はないかなどの相談を受けることもあります。

都市計画審議会や住民説明会の開催

都市計画は住民の生活に大きな影響を与えるため、行政側が一方的に決めることはできません。

住民の代表者に意見を伺う機会として、都市計画審議会を開催することが法律で義務付けられています。

審議会のメンバーの決め方は自治体によって異なりますが、町の歴史や特定の分野に詳しい有識者委員と町民から募集した公募委員によって構成されることが多いです。

また、直接的な影響を受ける住民には説明会を開催します。

・どのような目的で都市計画を行ったのか
・どのような影響が想定されるのか

について説明をするため、住民に納得してもらうための資料作りが必要になります。

このように、審議会の開催住民説明会の開催に関わる業務も、都市計画部署の大切なお仕事です。


都道府県庁との協議

都市計画は町の意向だけでは決まらす、都道府県庁に了承してもらう必要があります。

よって、具体的な計画が自分の町で決まった際には、都道府県庁を納得させられるストーリや資料を作成して協議を行います。

町づくりへの介入度合都道府県ごとに異なりますが、農業が主要産業の道や県などは、都市の発展を防ぐために法律以上に厳しいルール(方針や指針)を設けていることがあります。

このようなルールをどのように攻略していくのかが、都市計画部署の職員の腕の見せ所とも言えます。

土地利用方法の検討

民間企業から

「新店舗や工場建設で使える土地ありませんか?」

という照会もよくあります。

中には、非常にスケールが大きく町の将来を左右するような案件もあります。(大型商業施設の出店計画など)

その際には、町への影響を考慮するために内部で会議を開いたり、ふさわしい土地が無い場合には、他の町の事例や関係する法律を調べて、土地の所有、者、国、都道府県庁を説得できるようなプランを立てたりします。

業務量はどのくらい?

現在ほとんどの町では、発展時期を終え、維持がメインとなっているので、新たな事案は少なく、それほど多忙ではないと思います。

ちなみに私が在籍した期間は、1年で15時間ほどしか時間外勤務はありませんでしたので、プライベートの時間がたくさん確保できました。
(残業代が入らないのに、無駄遣いする時間があり貧乏になりました😂)

ただし、新たな都市計画事案がある場合は忙しくなります。
それでも、業務の専門性が高く、町としての優先度が高いため、外部委託するための予算が付きやすく無謀な業務量とはなりにくいです。

良かったこと

町に対する理解が深まる

過去の都市計画を勉強することで、先代の人々がどのようなビジョンを描いて今の町を作り上げてきたのかが分かります。

ちなみに私の町は、鉄道中心の町づくりから道路中心の町づくりにシフトした様子が都市計画の変遷から分かります。

このように、今ある町並みがどのような意図の上で成り立っているのかが理解できるようになるので、他の人とは違う創造者のような視点で町を理解することができます。

他の部署でも役立つ知識が身に付く

都市計画はまちづくりの骨格を担い、行政サービスを行う上での基盤であるため、他のどの部署に行ってもその知識は武器になります。

また、自分が上の立場につき、新たな取り組みを行う時にも、都市計画の知識は必ず必要となります。

まちづくりに関する公約を掲げる首長も多いため、管理職はどの部署であっても必要最低限の都市計画の知識を持っている必要があると言えます。

旅行に行った際に、楽しむ幅が広がる。

これは趣味レベルの話ですが、旅行などで遠出した際には、事前に住民の人数を調べたり、グーグルマップでその町を上空から眺めてみたりします。

そうすると、都市を発展させてきた地方自治体の意図や戦略を垣間見ることができます。

実際に現地に行った際には、繁栄状況などでその結果をみることができるので、「上手いな~」とか「下手だな~」とか勝手に評価して遊んでいます笑

キツかったこと

最初は分からないことだらけ

都市計画はあくまで計画であり、それを実現するためには建築や土木など工学系の知識が必要になります。

私は、事務職だったので配属された時には、飛び交う言葉がすべて、暗号のように聞こえました。

最初は、何から学ぶべきか分からず途方に暮れました

また、工学系の知識を持ちながら設計作業などを行い、それでいて事務作業も淡々とこなしていく技術職の方を見ていると、

「自分は事務職という肩書だけで、何も得意なことがない、、、」

と落ち込む時期もありました。

そこで、とりあえず仕事上で耳にした言葉はすべて調べ、実践を通じて知識を身に付けることにしました。

繰り返し出てくる言葉については、深堀して理解を深めました。

すると知識を習得するうちに、自分が知っておくべき知識深くは知らなくてもいい知識の区別がつくようになりました。

まったく知らない世界に踏み込むと、何をすべきか分からずに不安になりますが、事務分掌前任者からの引継ぎ書を読み込むことで、自分に与えられている仕事のラインを明確に区別することが重要です。

もちろん、

「片っ端から勉強してやるぞ🔥」

という強い意志がある方は、知見が広がるチャンスですので是非トライしてみてください✨


今振り返ると、事務職の強みは

「技術職に比べて深さは劣るものの、広い知識を身に着けて多角的な視点で業務にあたることができること」

だと思います。

技術職の職員との関わり方

私がもっとも苦労したのは、特定の技術職の方との関わり方でした。

技術職の世界は、体育会系の雰囲気があります。

上下関係や作法には特有のルールがあるので、最初はよく部署内の様子を観察する必要があります。

飲み会なども、店選びや進行にこだわりを持っている方がいるので、幹事になった場合は注意が必要です。

それでも、謙虚に学ぶ姿勢などを認めてもらえると、関係性が一気に好転します。

言葉は強くとも、私が知らないことを丁寧に教えてくれたり、業者との対応で困っている場面でサポートしてくれたりと、男気に溢れた方が多いです。

最初は一方的に苦手なタイプだと思っていたけれど、最終的には部署が離れた後も定期的に相談ができるようになった素敵な出会いもありました。


けれど、特定の技術職の方とは最後までそりが合いませんでした。

その方々は悪い意味で職人気取りでした。

自分の専門分野への拘りが強く、気分屋で相手が担当の仕事なのにこちらが頭を下げてお願いしなくてはならない場面が多かったです。

頭を下げるぐらいなら良いのですが、このようなタイプは新しい仕事を嫌い、他の人に仕事を押し付ける傾向があります。

特に、都市計画という言葉は広域的な意味を持つため、なにかと理不尽に仕事を押し付けれることがありました。

そんな時身を守るのは、やはり条例で定められている事務分掌です。

また、体育会系の上下関係に忠実な気質を逆手にとって、その人の上司に訴えかけることで、解決した場面もありました。

どこにも移動できないから専門知識が身に付いたのかも知れませんね

とはいえ、あくまで、そのような技術職の職員は、ごく一部です!

専門知識を持った技術職の方と関わりを持てることは、自身の経験としても、人脈としても、大きな財産となりますので積極的に飛び込んでみてはいかがでしょうか✨

都市計画の今後

人口減少により、いままで拡大してきた市街地を縮小していく必要がある自治体が増えます。

国も、人口規模に合わせたコンパクトな町づくりを推奨しており、

・商業施設や公共施設を密集させ、歩いて買い物ができるようにする事業
・同じ市街地でも、住むことを推奨する場所抑制する場所を定める事業

などの支援に力をいれています。

コンパクトな町づくりを目指す際に、避けられないのは町づくりの優先度が低いとみなされた土地の所有者との交渉です。

誰しも、先祖から引き継いだ土地や購入した土地を優先度の低い土地と決められたら容易に納得はできないと思います。(地価の下落も伴う。)

それでも、人口減少に対応し、限られた予算で、住民の幸せを守るためには、町づくりの在り方を見直さなくてはならない局面にぶつかる確率は高いと思うので、国の方針自分の町よりも過疎レベルが少し高めの自治体の動向を注視して備える必要があります。

まとめ

今回は都市計画部署の仕事について簡単に紹介させていただきました。

都市計画の目的は、とどのつまり、住民の幸福であると思います。

人口減少や高齢化社会など、時代ごとに直面する課題に対して、限られた財源でいかに、住民の生活を守っていくのかが試されるのです。

業務量は配属された時期によって大きく異なりますが、得られる知識は地方公務員として生きる中で、かけがえの土台となります。

よって、忙しくない時期に配属されたとしても、期待されていないという訳ではありません。

むしろ、理事者からのメッセージとしては、

「今度、町を発展させていく上で重要なポジションに置くから、今のうちに知識身につけろよ!」

です。

なので、事務職、技術職に関わらず町の未来を託されているという希望をもち、胸を張って業務にあたってください✨

以上、都市計画についてご紹介させていただきました。

記事についてのご意見やご質問等ございましたらコメント欄に記入していただけますと大変モチベーションにつながります。

お読みいただき、ありがとうございました😊